=場末の映画館支配人が語る30年雑記=
=最終章=
<新たなミニシアターの出発!>
30年近く、洋画、邦画、または東宝作品を上映してきたが、
2005年4月から、ミニシアター映画を上映することになった。
この鞍替えは、衣替えみたいにはたやすくない。
基本的に、一般映画の客層と、
ミニシアター映画の客層は、がらりと違う。
ちょっと銭湯に行きますみたいな感覚ではなく、
映画を芸術として楽しむ、よそゆきの雰囲気があった。
文化の薫り高き世界。
私は、娯楽作品を否定するものではない。
映画の醍醐味は娯楽作である。大衆文化でもあるが、
考えさせられる映画、メッセージ性に富んだ映画は敬遠されがちだが、
このスプリットなしに、映画の成熟はないと思う。
昨今のミニシター映画の衰退は、送り手側にも問題があり、
メジャー作品は、人気コミック、ベストセラー小説の映画化ばかりに走り、
オリジナル脚本が皆無のような状態では、安易過ぎて、
ただ、安全作をとって、当てればいい、儲ければいい、
お客の目を肥やすことはしてこなかったツケは、
大きな代償を払うことになるだろう。
要は、ほとんどの人の映画鑑賞の始まりは、娯楽作からである。
そこから目を養い、深堀するミニシアター映画の存在は大事なものであった。
話は横道逸れて、説教ぽくなりました。
すみません。
本題に戻して。
ただ、過去、ミニシアター映画の仕組みも何もわからない。
さっそく、関係者の人たちに色々なアドバイスを頂いたり、
また、配給会社を紹介してもらったりと、
暗中模索の中、ヨチヨチ歩きのミニシアター映画館としての歩みを
始めるのであった・・・。
まずは、手に入れた情報を元に、
ミニシアター映画の各配給会社に電話を入れる。
それまでに東京に足を運び、紹介された配給会社を回ったが、
それも数社程度に終わり、また、あいさつ程度の名刺交換で
帰路についた経緯もあり、試行錯誤の船出は難航を極め、
しかし、船出するには、上映したいプログラムを組まなければ出航も出来ない。。
こちらの意思、やりたい映画を組まなければいけない。
ネットを駆使し情報収集しての大変な道のりの船出である。
しかも、驚く無かれ、
ミニシアター配給会社は日本には30社以上ほどあるのも凄い!
初めて知ったこと。
日本でも、気概のある映画魂を持った人たちに支えられ、
邦画が形成されていると思った。
今まで、メジャー配給会社の甘いエサにありついているばかりで、
立ち位置が失ってきたのが、今更に明確にわかってきた。
遅いわ!と、叱られそうだが、
このような状態になって、さらに腹をくくって戦なわければいけないと、
肝に銘じた。
東京で挨拶も出来なかった配給会社も、いきなりの私の電話にも快く
応対してくれた。こちらの会社の定款をFAXで送ったりして、
会社規模と事業内容を示した。
そういう行動を取りながら、徐々に決めた映画の段取りと
プログラム番組を進めていった。
私も映画好きだから、
今までもミニシアター映画は話題になった作品は見てきたが、
それでも得意分野ではない。
まずは、さかのぼる半年前からのミニシター映画ヒット作をチェックする。
当時、動物ドキュメンタリー映画の先駆け、
東北新社の「ディープ・ブルー」がヒットし、
まもなくDVD化されるのはわかってはいたが、
出陣には、今後は、こんな映画を上映してきますのアピールが必要であった。
この2004年夏公開の「ディープ・ブルー」も鮮度は落ちていたが、
認知度で選んだ。

なお、スカレット・ヨハンソンが世に出た名作「真珠の耳飾の少女」を
上映したかったが、公開1年が過ぎ、DVD化されていたので断念。
後、3作品は、
信楽の女性陶芸家の実話描いた、ゼアリズ配給の「火火」、
愛の感動作、ギャガ配給の「君に読む物語」、
 
そして、東京同時公開のザナドゥー配給のオムニバス映画「いぬのえいが」。

本来、ミニシアター映画、1作品につき数本程度で、
まず東京から公開し、順次、大都市を中心に人口比率の地方へと流れていくので、
配給会社に要望しても、当館も含め、地方のミニシアターは、
初公開から、およそ3ヶ月遅れでのプログラミングを強いられた。
上記の「いぬのえいが」は、
全国展開に成りえたので同時公開が出来たのだ。
2スクリーンで、初のミニシアター映画、4作品。
「いぬのえいが」は1話には、宮崎あおいも出演しているが高稼働とはいかない、
要の「ディープ・ブルー」も遅ればせの公開では力なく、
「火火」は、高橋恵子のダンナの高橋伴明監督ゆえの力作、
実在する主人公の神山清子さんを招いての講演付きの上映日だけはよく入った。
「君に読む物語」は、映画の中身も良く、そこそこに稼動した。
出足のミニシアター4作品の興行に物足りなさを感じたのは、
今まで、ハリウッド作品や大手メジャー作品の数字に
なじんでしまっていたこともある。
これが、ミニシアター作品の現実を思い知らされた出発点でもあった。
手探りの作品チョイスは、困難を極める。
次は、ザ・ミニシアター作品ともいえる、
ギャガ配給の「エータナル・サンシャイン」、

ただのラブストーリーではない、甘口でもない。
感性で見る世界観。
アスミック配給の「約三十の嘘」は、
妻夫木聡、椎名桔平、中谷美紀などの密室群像劇、

キャストは揃えたが内容がない。
これではダメですネ。
ならばと、井筒監督の代表作、シナカノン配給の「パッチギ」、

沢尻エリカが新人と思えぬ堂々の演技、
井筒演出ワールド全開のみなぎるパワー、
全国で評判になっただけに、ミニシアター劇場になって、
これが1番、よく入る。
この”入る”は、地方では過去のメジャー作品のヒットの観客の目安が
1日500人以上なら、100人も来たら、
いい方だと気付かされた作品でもある。
実話に基づく山岳モノ、
アスミック配給の「運命を分けたザイル」を。

アンデス氷壁の死のクレパスでの感動作。
このテーマは限られた客、まあ、いろいろ試してみる。
東京テアトル配給の「トニー滝谷」、いい渋み。

村上春樹の小説を名匠・市川準監督が映画化。
これぞ、ミニシアター映画の真髄か。
だから芸術してる。
だから、来ない。これがミニシアター映画の現実。
このような映画を積み重ねて、映画館の色を変えなければいけない、
ひとつの覚悟を胸に刻まれた作品です。
と、まるで、文化を高めて生きたいみたいな、よそゆきの顔に出来ない・・・。
何故なら、駅前に引越し、
今まで自社地の映画館だったから賃料はいらなかったが、
当然のごとく賃料もバカにならいし、
360席と160席の2スクリーンの光熱費も半端ない。
小商いばかりでは風前の灯。
威勢よくミニシアター映画と息巻いたが、
早々、目の前のエサを飛びついてしまう。
当時は、韓流ブームの真っ只中、
イ・ビョンホン主演のヘラルド配給の「甘い人生」に手を出す。

韓流好きのおばちゃん達が、こぞって押し寄せる。
ミニシアター映画館を忘れ、韓流映画に味を占める。
すぐさに、クォン・サンウ主演の「ひとまず走れ」を公開。
安定してる。
おいおい、それじゃ韓流劇場になっているぞ!の心の声がささやく。
少しだけ、韓流映画でしのがせて下さい。
でも、
そこは抜かりない。
東芝エンターティメント配給の「マシニスト」もやる。

1年間不眠不休の男の不可解な事件に巻き込まれるミステリー。
ダーク感たっぷり、気持ちが、もうついていけない。
少し女性に寄り添って、ヘラルド配給の「コラース」を。

フランスの戦後を舞台に音楽教師と問題児の交流を描く。
ハートフルな映画で女性客に焦点。
日々の興行成績も気になるのは当たり前だが、2週間単位でのプログラム。
最低でも、2週で4作品を決めていかなければいけない現実、
そう、ミニシアター映画のほとんどは大当たりはなく、
お客の絶対数が固定客に依存しているから、数をこなして上映本数も多くなる。
先へ、先へと、作品、番組作りをしていかないと編成できない。
だから、毎日、作品の情報、アンテナを張りながら、
NHKの朝番組で取り上げた作品、フジの”めざましテレビ”などで
ミニシアター作品紹介もチェックは怠らない。
ピンとくれば、さっそく、
その配給会社のお電話するのが日課。
まあ、ミニシアターのひと作品のフィルム本数(当時はデジタルではなくフィルム)が少なく、全国でのミニシアター映画の争奪戦と、長年のお付き合い、実績が考慮されるから後発組の当館としては、もっとも弱い立場は否めない。
実績のある映画館が優遇され、上映日がかなり、遅れをとった。
それでも臆せず、電話をしまくる。
たぶん、他が見向きもしない映画にも上映依頼、
それは、まずはお付き合いしてもらうのが前提とわきまえていた。
はなから、当たる映画にありつけるほど、甘くはなかった。
今まで記した上記の「運命を分けたザイル」「約三十の嘘」「マシニスト」などは、
配給会社とのとっかかりを大事にしたかった。
そんな流れは下記の作品のチョイスもそうだ。
男の妖艶なクセのあるギャガ配給の「バット・エデュケーション」、

個人的には、受け付けない。
宮崎あおあい初主演「害虫」で名を挙げた塩田明彦監督の
シネカノン配給「カナリア」、

攻めている。ここは塩田監督。
東宝東和配給、「海を飛ぶ夢」、

尊厳死をテーマの重い映画。考えさせられる。
また、三木聡監督、松尾スズキ主演のヘラルド配給「イン・ザ・プール」、

このコンビならではのシュールな世界。
などなど、ジャンル問わず、ためらいもなく決めていく。
夏休みは、過去のしがらみか、
つい、商売になびくのは直らない。
家族向けに絞る。
ギャガ配給の「皇帝ペンギン」を全国公開としてもらう。

小学・中学に割引券を配布して宣伝費を投入したが、
期待に反して、大きな当たりはなかった。
でも、最初に当てにいった作品という事で想い出深い。
この合間に、韓流映画の「オオカミの誘惑」、キム・ハヌル主演の
「彼女を信じないで下さい」をやりながら急場しのぎは怠りません。
もう少し、地固めが必要です。
ギャガ配給の「ヒトラー最期の12日間」、

長尺ながら、根強い映画ファンを集めました。
ドイツ映画、ヒトラー作品は多くの作品を今でも製作しています。
過去を封印しないことは頭が下がります。
ヘラルド配給の「ラヴェンダーの咲く庭で」は、

老女と見知らぬ若者とのふれあいを描く。
地味すぎるネ。
アスミック配給の「コーヒー&シガレッツ」、

どう、この渋いポスター。
アートです。おしゃれ感たっぷり。
コーヒーとタバコをテーマの短編集。
地方は、この手、ダメです。コア過ぎます。
でも、上映する価値はあります。
目先ににこだわらず、一歩、一歩、果敢に作品、チョイス。
邦画のミニシアター映画の秀作にも出会います。
ユーロスペース配給の「いつか読書する日」、

田中裕子、岸部一徳主演。30年間、想い続けた恋。
成熟した大人の映画。いい作品です。
なんか、面白くなってきました。
過去、娯楽映画ばかりの興行にどっぷり浸かっていた時代、
いいことも悪いことも、たくさんの経験を積んできましたが、
今、ミニシアター映画に特化したのは、苦肉の策ではありましたが、
琴線に触れる映画の上映に、
居心地が良くなってきました。
”文化をたやすな!”みたいな大袈裟な意気込みではないが、
この映画館に集う、目の肥えたお客様に触れ合えるのも
基本的に、映画大好き!おじさんには、
快感のようなものが芽生えてきました。
そこに現れたのが、
ビターズ・エンド配給の「リンダリンダリンダ」でした。

「リアリズムの宿」などの独特の世界観を持つ山下一敦弘監督。
ブルーハーツをコピーバンドする女子高生たちの物語。
個人的には、はずまなかったが、でも、そこはかとなく青春してる、心地いい。
これも、ミニシアター冥利でしょうか・・・。
同じくして、この映画との出会いと共に、
あらたにスタッフ募集に
一人の女性の登場が、さらにミニシターをさらに
加速に導く、ビーナスが現れました。
それが、23歳の女性、”ナミコ”様です。
ありがたい援軍です。
映画好きということもあり、これもご縁です。
映写と実務の両輪で頑張っていただきたく、
まず、映写機の扱いに1ヶ月近くかけ、その後は、
彼女にも作品チョイスと宣伝と何でもこなしていただく大役を
課しましたが、彼女なら、こなしていけるという確信はありました。
まあ、勘です。
その後の私の相棒としてのミニシアター運営が、
再度加速していきます。
そこへ、
ザナドゥー配給の「ニライカナイからの手紙」の出会いです。

沖縄の竹富島を舞台に、離れて暮らす母との手紙を通じて繊細な少女の葛藤を描く。
蒼井優の代表作のひとつと言って過言ではありません。
私の大好きな映画です。
このポスター、蒼井優だから成り立つ素敵なポスターです。
ひとつ、またひとつ、素晴らしい映画との出会いが
頑張る原動力につながっていきます。
スタッフのナミコ様も気概を持って取り組んでくれています。
ここまで、こちらからの配給会社へのアプローチでの作品上映でしたが、
ムービー・アイ配給会社からの初めてのお電話を頂きました。
「青空のゆくえ」を上映してくれないかとの上映依頼。

多部未華子がまだ新人の初々しい。
中学生たちのみずみずしくも学園にありがちな痛みも伝える青春群像。
私は即座に、”やらしていただきます。”と即答です。
ミニシアター映画館になって、4ヶ月、配給会社からの初依頼です。
気持ちで応えたい。
直感的には、入る要素はないのですが、
監督が「ココニイルコト」、内山理名の「卒業」の長澤雅彦監督。
でも、案の定。一週間で20人も来なかった。
とんでもない不入りだったが、全然、後悔などなかった。
こちらも精一杯に頑張っているが
、特にミニシアター作品を扱う配給会社も必死で頑張っているのだ。
気持ちと気持ちが重なるだけで、
どんぶり飯3杯は腹に入るような心の満腹感は
変えがたいものがあります。
私にとって、「青空のゆくえ」は、ミニシアターとしての
覚悟の映画でもありました。
だから、今でも、この映画は大好きです。
宝物です。
このよううな経過をたどると、当館も地道に認知されるようになり、
各配給会社から、日ごと、新作映画の案内ハガキが多く届いたり、
試写用サンプルDVDもダイレクトに送られてくるようになりました。
うれしい限りです。
映画好きにとって、前もって映画を鑑賞が出来て、内容を把握することで
作品を愛して、お客様に届けられるのは、二重の喜びです。
スタッフのナミコ様とも、次は何を上映しようか?
二人で話し合い、作品を吟味し、
宣伝も、作品プログラムのリーフレット作成や、
ホームページも新たにミニシアター用に立ち上げたりと、
いろいろな仕掛けに取り組んでいきました。
リーフレットの映画案内文面やホームページの文面も、
二人で手分けして文章を考えたり、
券売機の上映時間案内にも映画チラシの切り張りをほどこしたりと、
やることはいっぱい。
ただし基本の分担は、ナミコ様が全部フィルム管理を、
私が配給会社の交渉と、
試行錯誤しながらの日々に明け暮れました。
今となっては、あの時が凄く充実した、尊い時間に身を置いていたのだと
懐かしくもあり、かけがえのない時でした。
ちょっと感傷めいた話になりました。
本題に戻しましょう。
晩秋の頃に、
アスミックエース配給の「メゾンド・ヒミコ」がありました。

「ジョゼと虎と魚たち」の犬童一心監督、主演はオダギリ・ジョーと柴崎コウ。
豪華な組み合わせです。
話題作でありながら、予想以上の入りではなかったが、
またひとつ、階段を一段づつ上がっていくような感じです。
ギャガ配給の「理想の女」はセレブな感じ。

スカーレット・ヨハンソン主演の南イタリア舞台の上流階級の恋。
ギャガ配給の「ふたりの5つの分かれ路」は、

「8人の女たち」のフランソワ・オゾン監督の恋の行方。
上記の2作とも、良質な作品なれど、高尚過ぎるのか、そうなびかない。
これが難しいところ。
まだまだ、映画館が認知されてない証拠。
このような作品を手堅くコツコツ当てにいかないと、
今後の見通しは暗くなる。
やはり、甘くない。
半年程度で、答えが出るほど道のりはたやすくない。
信用される映画館には程遠いのを再度、実感。
じゃ、これで、どうだとばかりに、怒涛の作品構成に出る。
東芝エンタティメント配給の「マザーテレサ」を、

修道女マザーテレサの人生の映画化。
主演が「ロミオとジュリエット」のオリビア・ハッセー。
そして、東京テアトル配給の「ヴェニスの商人」、

シェクスピアの有名な戯曲をアル・パチーノ主演で描く。
シネカノン配給の「クレールの刺繍」、

17歳のクレールが刺繍を通して描くヒューマンドラマ。
どうですか?揃いも揃えた名作の数々、
そこに、息抜きじゃないが、邦画で色を更に加える。
「無能の人」で才能を開花させた竹中直人監督の新作、
サジフィルムズ配給の「さよならCOLOR」です。

いいポスターですネ。好きです。
マドンナに原田知世を迎え、中年男性の大人のラブストーリー。
竹中直人がハナレグミの歌ありきですすめた企画モノ。
内容は、飛びぬけていいわけではないが、
「時をかける少女」から大人になった原田知世をいかに素敵に見せるか、
竹中の思いが伝わってくる1作です。
このようなプログラム構成。
剣道でたとえれば、面を2本を打ち込み、胴を横打ちして、
コテを放り込む、多様な番組構成、いいんじゃいですか?
自己満足と言われようが、
相棒のナミコ様も同感とばかりに、作品の範囲を広げていく・・。
じゃ、これは、どう?
ニューセレクト配給の「乱歩地獄」、

江戸川乱歩の4作のオムニバス。
いやはや、これは受け付けないか、お客さん。
来ない。そら、そうでしょう。
韓国映画のホ・ジノ監督の名作のリメイク作品、
東芝エンタティメント配給の「8月のクリスマス」と邦画攻め。

ホ・ジノ監督のこの韓国映画が日本で周知された傑作を
山崎まさよし、関めぐみ主演で。
悪くはないが、やはり、この世界観は韓国か。
ハードルが高すぎた。
それなら、イ・ヨンエ主演、
「オールドボーイ」のパク・チャヌク監督とのタッグで
東芝エンタティメント配給の「親切なクムジャさん」を。

映像はいい。話が弾まない。芸術に走り過ぎている。
ただし、イ・ヨンエは美しい。
ちなみに、この映画、「春の日が過ぎゆく」で共演したユ・ジテが友情出演が憎い。
エレファントピクチャー配給の
フランス映画「メトロで恋をして」でおしゃれに。

こそばゆい、のれない。
ギャガ配給の「ブルーフ・オブ・マイ・ライフ」はいかがですか?

これも、のれない、
ムービ・アイ配給の「そして一粒のひかり」、

17歳の麻薬の運び屋の過酷な旅。
他には、
「ミリオンズ」、「「カーテンコール」、「女は男の未来だ」、
「ベルベットレイン」、「RIZEライズ」など、
そう、これものれない、
波にのれないサファーみたいに深夜の海を漂う・・・。
どれもこれも、映画に罪はないが、興行的には厳しい。
打つ手が泥沼。
ここは、小泉今日子主演のリトルモア配給の
「空中庭園」には期待する。

「青い春」の奇才、豊田利晃監督の腕頼み。
青春のアイドル、キョンキョンです。
家族のあり方をダークサイドに・・・。そう悪くはいが、でも響かない。
これもアートし過ぎ。
この月間は
ミニシアターを始めて、興収が最低を記録した。
上映本数だけが多くて、空打ち状態。
クラクラする。そろそろミニシアターを始めて1年を迎えようとするが、
まだ、先が見えない袋小路に迷い込む。
ここまで書いて、どうですか、
何社との配給会社とお付き合いしたことか・・・。
直接、担当者の顔を存ぜぬ失礼を繰り返して、
電話1本での依頼に応じてくれたことを感謝するばかりだが・・・。
全国のミニシターは、そんな道のりを長年続けて、
たぶん、映画好きだけでは語れない過酷な経緯を経て、
今もみな、戦っているのだろうと・・・、
私の甘ちょろい覚悟で淘汰されるのがオチ。
さらに、強い覚悟を持って臨むなければ絶対に答えは出ない。
*ここまで記した作品は、ポイントを押さえた作品ですので、
5分の1にも満たない作品を記しています。
ご了承下さい。
とにかく、前に進めて行こう。
これは来ないヨねの期待薄が、ヘラルド配給の「疾走」でしたが・・・

重松清原作、SABU監督。若者の繊細な日々を描く。
これが、そこそこにお客が来ました。
映画の内容はいいのもあるが、自信が無かった作品が
予想以上に、ある程度までの動員を得たことで、
着実にお客に認知されてきたような実感を持ったのは・・・
勇気付けられる1作だったのを今でも覚えています。
立ち止まっていられない。
エレファント・ピクチャー配給の「灯台守の恋」、

1960年代のフランスを舞台に、青年と人妻の許されぬ恋。
ギャガ配給の「ボビーとディンガン」、

イギリスを舞台に目に見えないものを信じる幼い兄妹の物語。
ビターズ・エンド配給の「ある子供」を、

2005年カンヌ映画祭パルムドール受賞作。ベルギー映画。
子供が出来た若いカップルの過ちを描く。渋すぎる。
エレファント・ピクチャー配給の「歓びを歌にのせて」、

アクデミー賞外国語映画賞のスウェーデン映画。
世界で名した指揮者が故郷に戻り、再び音楽の素晴らしさを知る感動作。
ギャガ配給の「ナイロビの蜂」、

陰謀に巻き込まれた妻の死の謎を解明するため、世界を舞台に壮大なスケールで
贈る愛と尊厳のストーリー。撮影の苦労は大変だったと思う力作。
上記のように
フランス、イギリス、ベルギー、スウェーデンと・・・
世界各国の映画を上映する。
過去には考えられないこと、
ほとんどがハリウッド映画に依存した日々から、
日本では大々的に陽の目を見ない作品を、グローバルな映画を
この地方で上映する意味。
世界には、素敵な映画があふれている。実感させられる。
ただ、
上記のひと作品ひと作品、二週間も上映して、
お客が100人も来ないのはザラである。
でも、どこか心地いい。
その数少ないお客様でも、作品の価値観を共有しあえることへの喜びに
突き動かされる。
だから、
めげない、歩みを止めない、
でも、人間だもん、たまにめげる。
さらに、落ち込む、凹む。
それでも、後ろを見ない。後悔しない。前進あるのみ。
(ちょい、綺麗ごと過ぎますネ。すみません。)
さあ、ここで、ミニシアターを際立たせる、
ワイズポリシー配給の「ブロークバックマウンテン」を上映。

保守的なアメリカで20年以上の男同士の愛を貫く物語。
「グリーンディステニー」のアン・リー監督。
世界的な映画賞に輝き、当時、日本では受け付けないテーマだが、
本作は、日本でも認知され評価された。
入り合格点である。
このような映画を上映することこそ、ミニシアターとしての誇りでもある。
そうなると、
アカデミー賞最優秀作品賞に輝いた、
ムービーアイ配給の「クラッシュ」を上映することにもなる。
過去、メジャー系では「プラトーン」、「アマウデス」、「許されざる者」等の
アカデミー作品賞受賞作を上映したが、ミニシアターとしては、お初。

ロサンゼルスを舞台に、あらゆる階級、差別を鋭く描く。
娯楽作ではない。
覚悟を持って見ないと、ついていけない映画。
とても重い映画。
ここで、さらに極める映画に出会う。
メディア・スーツ配給の「ホテル・ルワンダ」です。

南アフリカ、ルワンダ。民族間の対立で100日間で100万人が虐殺される中、
高級ホテルの支配人がホテルに市民1200人をかくまい守りぬいた実話。
この真実に、打ちのめされる熱い映画。
まさにミニシアター映画の本領発揮の渾身の1作。
この映画は、
ミニシアター映画としては興行的にも大ヒットし、
今後の映画館の運営に貢献してくれました。
ミニシアターとして、
楔を打ち込んでくれた記念すべき作品でもあります。
毛色が変わった作品もあります。
東芝エンタティメント配給の「天空の草原のナンサ」。

モンゴルを舞台に遊牧民家族の物語。
いいじゃいですか、少女のけなげさ、すがすがしさを感じます。
ミニシアター作品は、いろいろなジャンル、
世界各国のすぐれた作品を配給会社が買い付てくるのであるが、
評判のいいものには、競争原理が働くので、買い付け料が跳ね上がったり、
抱き合わせ作品をつかまされたりするので、結構、高いリスクを抱えて、
各配給会社はかなりのリスクを抱え戦って挑んでいるのである。
頭が下がります。
だから、なるべく上映依頼には応えたいと思って
臨んでいかなければいけません。また協力を惜しみません。
オーバーですが、運命共同体と捉えて進めていきます。
邦画にも目配りは大事です。
パンドラ配給の「二人日和」を。

藤村志保、栗塚旭。
京都の四季折々の京都の移ろい、長年、連れ添った老夫婦の絆を描く。
小津映画を訪仏させます。
タイトルが面白いのもあります。
ゼアリズ配給の「三年身篭る」。

元オセロの中島知子が、3年も身篭る奇想天外なてんやわんやの大人の寓話。
こういう映画もアリ、ミニシアター映画ならではですヨ。
これも、何???、「コアラ課長」、

「いかレスラー」でマニアに受けた、
知る人ぞ知るコメディ映画の河崎実監督です。
相変わらずのノリ満載です。
お堅い映画ばかり提供はしません。
映画の醍醐味は。バカバカしさも大事です。
プログラム構成には、色合いにあふれることで、
お客さまに、楽しんでいただければいいなと心がけて。
実話の映画化も多い。
ヘラルド配給の「戦場のアリア」、

第一次大戦下のフランス奥部の前線での一夜限りの休戦。
クリスマスの夜、聖歌が流れる。奇跡の物語。
ニユーセレクト配給の「イノセント・ボイス12歳の戦場」、

1980年、エルサレバトルでの
政府軍とゲリラの内戦で子供たちが置かれた事実を描く。
キネティック配給のドイツ映画「白バラの祈り」、

ナチスへ反目した学生集団白バラの女性の一人が
即、殺害された実話の映画化。
上記、3作とも、戦争への熱いメッセージである。
ひとえにミニシアターたる由縁であろう。
言葉で簡単に反戦を唱えても響かない、
だから映像で、映画がもたらす力強さは変えがたいものがる。
宮崎あおいが初々しい、ビターズ・エンド配給の
「好きだ、」も忘れがたい。

カップルとして、高校時代を宮崎あおい、瑛太で、
社会人になって西島秀俊、永作博美が役柄を演じる。
この17年の時を経て愛を伝えるもどかしい愛を
淡々とアドリブあふれた実験的な映画。
映画自体は、そう面白くはなかったが、
歯がゆいぐらいの愛の軌跡も純でいいですネ。
こうして、映画愛にあふれるラインナップに、
とんでもない話題性のある映画が出現。
ティジョイ配給の「佐賀のがばいばあちゃん」、
そうです、あの島田洋七のおばあちゃんの名言集を集めた実話小説の映画化。

この作品を決めた時は、まだ世間では、認知されてなく、
ちょうど、映画公開時に、タイミングよく小説が大ブレイク。
テレビに島田洋七が出まくり、おばあちゃん逸話をしゃべりまくり、大ウケ。
ひいては、この映画に俄然、注目が一躍集まり、
いや~、たくさんのおばちゃんたちが押し寄ました。
がばいばあちゃん旋風、様様。
ミニシアターには見られないおばちゃん軍団であふれる。
運がまわってきたような感じ。
ありがとうございます。
これは運の呼び水となっていく、きっかけになった。
その後に舞い込んだのは、
私がミニシアター作品で1番大好きな作品の登場である。
それが、メディアスーツ配給の「かもめ食堂」です。

フィンランドを舞台に一人の日本人女性が日本食を扱う、
その名も”かもめ食堂”。
最初は現地の人に見向きもされなかったが、
日本食がクチコミで広まっていく様を、
小林聡美、もたいまさこ、片桐はいりの巧妙なかけあい、
フィンランドの美しい風景、のどかな日常を
何げなく、まったりまったり時間が流れる。
本作が、”ほんわか、まったり映画”の口火を切った映画。
監督の荻上直子の世界観は、
女性に大ウケ。毎日、女性客でいっぱい。
パンフレットも大いに売れる。いいことづくめ。
ミニシアターとして、メガ級の大当たり。
映画の良さもあり、ロビー、場内、やさしさに包まれていました。
私は、ミニシター作品の中で、1番大好きな映画です。
そして心に残る最大の作品です。
”かもめ食堂”、
本当にありがとうございます。
感謝しかありません。
この映画が、
今までで、最大のヒットを迎える。
こうなると、お客がお客を呼んでくる。
次回作品にも波及してくる。
ミニシアターの清らかな水の流れは、
誘い水となり静かに流れていきます。
それが、森田芳光監督の「間宮兄妹」へと。

佐々木蔵之介、ドンクドラゴンの塚地がとても仲がいい兄妹を演じる。
何をするのも一緒。動作も似てる。
キャスティングが際立って面白い、
この兄妹の母親役を中島みゆき、そして取り巻きが、常盤貴子、沢尻エリカと、
組み合わせ感がたまらない。
この映画も、まったり感にあふれ、
心地いい作品の仕上がり、
「かもめ食堂」、
「間宮兄妹」と立て続けにヒットを記録し、
ミニシアターとして油が乗ってきました。
そこへ、おおとり収める決定打が登場。
あの細田守監督のアニメデビュー作、
ヘラルド配給の「時をかける少女」がアニメとして、
ミニシアターに多大なる貢献した細田監督の大傑作です。

大林宣彦監督、原田知世の角川映画のから、新たな作風でアニメ化。
これが、すこぶるいい。手放しでいい!
過去、ジブリに関わった細田監督の初作品ながら、
まさに最高傑作、極まる。
クチコミも良く、週追うごとに数字がのびる。
後の映画館がつかえていたので、
3週間で上映切らざるえなかった断腸の映画。
3作連続の快進撃の大当たり。
もう一気に、ミニシアターとしての存在感に確立した、
この3作には、足を向けて寝られないほど。
”ありがとう。”の以上の興奮の余韻に浸った日々であった。
その間にも、世界各国の名だたる作品を上映していく。
口当たりのいい映画ばかりではなく果敢に攻めていく・・・。
歩みを止めない。
サジフィルムズ配給の「家の鍵」、

障害を持つ家族をテーマにした心を通わせる成長物語。
エレファントピクチャー配給の「ラストデイズ」も渋い。

ロックスター、カート・コバーンのの最期の2日間を詩的に描いた作品。
ビターズエンド配給の「美しき運命の傷痕」、

トラウマを抱えた三姉妹の力強く生きる姿を描く作品と来て、
東芝エンタティメント配給の中国映画「胡同のひまわり」、

文化大革命後の中国の激動の時代、親子30年の愛と葛藤を描く。
幅広く、ブロウドウェイのミュージカルの映画化の
ヴェナビスタ配給の「RENTレント」。

伝説のブロードウェィミュージカルの映画化。
「ハリーポッター」のクリス・コロンバス監督が若者達の青春の日々を描く。
東北新社配給の「ホワイトプラネット」。

地球温暖化の影響下にある北極グマなどの動物の生態を描く
ドキュメントメンタリーも上映する問題定義。
時代を切り取る映画もある。
ロードムービー、松竹配給の「トランスアメリカ」。

性転換を迎えた中年男性とその息子との大陸横断旅行を
ユーモラスに描いた作品。
肩を張らずに、人気コミックの映画化にも手を出す。
上野樹里主演の学園コメディ、
ニューセレクト配給の「笑う大天使(ミカエル)」。

でも、これはいただけなかった。
一風変わった実在する主人公にスポットを当てた伝説のドキュメントメタリー、
アルゴピクチャーズ配給の「ヨコハマメリー」の上映だった。

白塗りの化粧と貴族のようないでたち。50年間、娼婦として、
横浜の街角に立ち続けた老婆の生き様。
これぞ、ミニシアターの存在価値ありです。
トマト農家の中年男性の嫁探しを描いた、
ゼアリズ配給の「恋するトマト」、

この切り口もミニシアターらしい。
小品ながらいい出来栄え。
オダギリ・ジョーが単独アメリカ、全編英語のロードムービーの
野心作、東京テアトル配給の「ビックリバー」もチョイス。

ジョニー・デップも意気に感じる映画にも出演。
17世紀の英国の実在の放浪詩人の半生を描く、
メディアスーツ配給の「リバティーン」も渋いネ。

色々なレパトリーにあふれるランナップ、
でも、総じて、そうお客は来ない。
「かもめ食堂」、「間宮兄妹、「時をかける少女」の当たりで
このような作品も上映できることに意味がある。
楽しい。
ミニシアターとしての存在感、意義、
映画の深みを探求していく心地よさ。
そうすると、
ちゃんと、瞬く間に営利的にも、
救世主な映画が現れるから、我慢のしがいもある。
シネカノン配給の「フラガール」です。
これはミニシアター作品なれど、全国区になった話題作。
蒼井優、南海キャンディーズのシズちゃんの出世作。(いずれ山ちゃんも恩恵)

この映画、ここまで全国区に上り詰めるとは・・・。
当時、「フラガール」は、メジャー映画を押しのけ、日本の各賞を総ナメ。
話題を席巻しました。
また、連鎖反応の話題作が追加される。
オダギリジョー、香川照之主演。西川美和監督の出世作。
弟の彼女は事故死か事件か、関与する兄と弟の複雑な関係を描く、
シネカノン配給の「ゆれる」です。

公開を待ちわびた女性客を中心に続々・・。
スマッシュヒットが続きます。
この勢いに、良作で華を添えるのは、
「美しい夏キリシマ」の黒木和雄監督作品、
パル企画配給の「紙屋悦子の青春」、

原田知世主演、戦時中、ひとりの女性と特攻隊に出撃する兵士と
親友の三角関係を描く。
黒木和雄監督は、常に反戦を題材に、やわらかい語り口で訴えてきます。
廣木隆一監督、荒木晴彦脚本、寺島しのぶ主演。
松竹配給の「やわらかい生活」、躁鬱で病んだ女性の日々を描く、

映画通では話題になりました。
「CUREキュア」の黒澤清監督のサスペンスホラー。
中谷美紀と豊川悦司主演、
ファンムフィルム配給の「LOFTロフト」。

クセがあるだけで、黒沢清監督ひとりよがり?
でも、このジャンルもいい。
邦画を並べすぎた感は否めないから、
ウッディ・アレン監督、スカーレット・ヨハンソンが妖艶で美しく、
男に振り回されるサスペンス、アスミックエース配給の「マッチポイント」。

ウッディ・アレン監督らしさもありながらも、
見事な娯楽作にも仕上げていている。
やはり、ヨハンソン、いいですネ。
問題作も提供する。
昭和天皇陛下を描いた、スローラーナー配給の「太陽」は、
イッセー尾形の本領発揮、見事な陛下を演じる。

物議を醸し出したが、外国人監督の目線での昭和天皇像を。
それはそれで意味はある。
ここで、避けてはならぬ、
第二次世界大戦終結後の中国に残留して内戦に巻き込まれた日本兵の事実を
追うドキュメンタリー。
池谷監督の熱意がもたらす迫力の真摯な映像は賞賛に値する。
漣ユニバース配給の「蟻の兵隊」。

この配給会社、直接、電話上映依頼したのだが、
作品の監督が直接、お出になる。
珍しいこと。
監督業、事務作業、何もかもひとりやっているので大変ですとのこと。
商業走らず、この映画を撮りたい、
真実を追い求めたいの監督の志に感銘を受けた、
やりとりは今も忘れない。
このような方と、お話が出来、この作品を上映出来たことは光栄である。
この映画を提供したいために、私財を投げ打って取り組む姿勢。
だから、その魂を込めた作品を上映を協力できることに、
ミニシアター冥利に尽きる。
心が浄化する。
(綺麗ごと過ぎますネ。美化してます、酔ってますね。すみません。)
ソニー配給の「カポーティ」も各賞に輝いた力作。

実在した記者カーポティが、農家一家の惨殺を小説にした「冷血」を
書き上げるまでの過程を描く力作。
俳優のなりきりはお見事。
クラシックな映画もいい。
東北新社配給の「敬愛なるベートーヴェン」です。

天才作曲家ベートーヴエンの愛と苦悩を描く歴史ドラマ。
クラシック好きな女性を集めた。
その中に、
「イカレスラー」「コアラ課長」でおなじみの河崎実監督が、
とんでもない笑激作を作る。
トルネードフィルム配給の「日本以外全部沈没」だ。

「日本沈没」を逆手に”日本以外の国”が沈没のキテレツさ。
これが、ウケル。タイトルの妙もある。
つい、調子こいて、3週間のロングラン。結構、集客する。
こんなのもあり。
さも、良作です、真面目ですブルのは嫌、
映画の醍醐味は、ジャンル問わず。
遊び心もいいですよネ。
こうなりゃ、桃井かほり初監督、山田花子主演の
シナジー配給の「無花果の顔」も上映。

これは、調子こき過ぎました。
桃井ののり過ぎ、やり過ぎ?面白くない。
失敗もあります。
桃井さん、ゴメンネ。
エイベックス配給の「美しい人」、
しゃれたオムニバス映画。

やはり、いろいろな女性の生き方を描くが、散漫。
オムニバス映画は広がらない。
ブェナビスタ配給の「キンキーブーツ」。
靴工場の職人をテーマのイギリスコメディ。

これぞ、ミニシアター映画。こだわりの1作。
ここで、メジャー級のニコール・キッドマンのお出まし。
東芝エンタティメント配給の
サスペンス映画「記憶の棘」。

ニコールは美しいが、
内容は、私の頭の記憶の棘は刺さらなかった。
20世紀FOX配給の「サンキュー・スモーキング」は、
タバコ業界のPRマンと嫌煙家との戦いを風刺的に描く。

アメリカンしている。だからお客は知らん振り。
場内ももちろん禁煙ですが、煙たくなってきました。
ノー・サンキュー・スモーキング。
「三月のライオン」の矢崎仁司監督が繊細に。
アップリンク配給の「ストロベリーショートトケイクス」。

さりげなく女性、見つめ直して。
多様な女性の日常と葛藤を。
池脇千鶴、
ここにアリです。
東京テアトル配給、
韓国の奇才キム・キドク監督の「弓」です。
老人と少女、二人だけの船上の暮らしを。

まさにキム・キドクワールド全開。
キリキリしてきます。
「そこのみにて光輝く」、
「きみはいい子」の呉美保監督の初長編作品、
ビターズ・エンド配給の「酒井家のしあわせ」。

友近も出ています。ほのぼの家族の物語、
小粒ですが、こんなのアリ。
興行頼みでイ・ビョンホン。
何かと、イ・ビョンホン。
エスピーオー配給の「夏物語」は、やはり手堅い。
韓流ブームがちょい下火なれど根強い。

小商いは、
イ・ビョンホンに頼って、ありがとう。
富司純子、寺島しのぶの母娘初共演。
東京テアトル配給の「待合室」。

岩手山間部の駅の待合室に置かれた1冊のノートをめぐる実話の映画化。
人の心の機微に触れる1作。
ここまで記した当館の上映作品は一部の紹介だが、
その作品の配給会社は一部、メジャーもあるが、
大半を占めるのは、小さな会社である。
されど、自社製作に関わることも、
スポンサー集め、製作費の回収を考慮しながらも媚びない恐れない姿勢、
ハイリスクは否めない。それでも作る。勇気と志に感銘。
また年間通じて海外の作品の多くの買い付けるのは大変なこと。
そこで多額な買い付けの作品となれば、またもや、ハイリスク。
だから、ひと作品ごとに、宣伝も含め、魂を込めて、
会社の命運を託しているのである。
配給会社の立場に立てば、
命を宿した、いっぱいの思いがこもった映画として
取り組んでいるのである。
商業映画ではない。特にメッセージ性が強い、芸術性にあふれる映画を
どの切り口で、少ない宣伝費でやりくりして、
話題につねげたいと必死さは計り知れない。
本当に映画愛がなければ成り立たない。
こちらも、それに応えたい。
ミニシターサイドの番組担当者は、
営利も考えなければいけないが、
配給会社の熱い思いと一体感で歩まなければいけない。
常に、日課として、毎日、いずれかの配給会社との電話のやりとりをしている。
本数の少ない映画だから、必然とミニシアター同士が作品の取り合いになる。
普段のお付き合いも大事になってくる。
気に入った映画ばかりも要望できない。向こうの意図を汲んで、
話題性のない、地味な映画もオファーもする。
配給会社から依頼があれば、全部応えようと心がけたきたが、
ひと作品だけ、断った映画がある。
シネハウス配給の「逃亡くそたわけ」という作品。

精神病院から抜け出した男女の逃亡ロードムービー。
時期が過ぎて、
作品をレンタルDVDで見たら、あまりにも良かったので、
上映してあげれば良かったな~と、今も後悔している。
配給会社との小さな絆を紡げなかったこと、成就させてあげれなかったこと、
前記にも記したが、配給会社の心意気に応えられなかった反省。
今も心に痛い。
もう、その当時は、配給会社とのやりとりで、ミニシアターとして、
どっぷり、はまり込んでいった時期である。
その後も、いろんな教訓を糧にして、
いろいろなジャンルな作品を更に上映していくことにある。
メディア・スーツ配給の「クリムト」は象徴的な作品。

1900年、画家クリムトの伝記映画。
渋い、渋過ぎる。
お客は限られているが、なんか意義がある。
これぞ、ミニシアター。再度、自己陶酔。すみません。
キネティック配給のベルギー映画「エコール」、

深い森の中に少女達の学校。ある日、ある少女が脱走する・・・。
ポスターだけ見てるとロリコン映画と思われそうだが・・・。
いいじゃないですか。何か問題でも?
風吹ジュン主演。夫の他界をきっかけに、
私なりの自分の道を目指していく
主婦の自立を描く。シネカノン配給の「魂燃え」、

「どついたるねん」の阪本順治監督。
見所は、風吹ジュンと三田佳子の本妻、愛人演技合戦。
心に残る良作です。
カンヌ映画祭パルムドールに輝く、
ケン・ローチ監督のシネカノン配給の「麦の穂をゆらす風」。

1920年代のアイルランドの紛争を描いた悲劇。
いかにもカンヌ映画好み。
ソニー配給の「世界最速のインディアン」

アンソニー・ホプキンス主演。
60歳を超えてもライダーとして夢を追い続け世界最速を果たした
実話の映画化。ソニーよいうメジャー配給ながら、
日本では、ミニシアター公開。
アメリカで受けても日本の市場を考慮し、小規模での公開となるのである。
レパトリーに深みが増してきた。
こうなれば、角度を変えて、
ソニー配給のアニメ「パブリカ」。
 マニアにはたまらいアニメです。
捨てがたい韓国映画も、
ちょいちょい差し込みます。
東京テアトル配給の「百万長者の初恋」、

スタッフの母親が大好きなヒョンビンの王道ラブストーリー。
ベタベタですみません。
一風変わった、こま撮り映画、
ニューセレクト配給の「こまねこ」。

結構、話題になりましたヨ。
タイトルが耳朶に響く、
リベロ配給の「長州ファイブ」は、
ノリで上映したが、全スタッフは呆然か?

幕末、イギリスに勉学の為、密航した若者の熱い思い。
どうです、「長州ファイブ」、製作者の志。だから、上映を応援したい。
ホラー映画もやります。
ホラー界の名匠、白石晃士監督のトルネード配給の「口裂け女」です。
気取って、文芸作品を提供するミニシアターをあえて避けるように
あの”口裂け女”の映画化。

これ、どうも中身は悪い。許してネ。
そこをカバーするのが、
アメリカで大ヒットを記録し、大絶賛の
アカデミー賞にもノミネートされた、
20世紀FOX配給の「リトル・ミス・サンシャイン」、
これまた日本では、市場規模から単館系。

家族の再生を描くコメディ・ロードムービー。
映画好きにはたまらい1作。
そこそこの入りでしたが、気概を持って4週間も上映しました。
いい映画は皆さんに見ていただきたい、感動も共有したい。
そうです、ミニシアターの役目です。
だからこそ、対照的な邦画のロードムービー。
BUGPOINTJAPAN配給の「日本の自転車泥棒」の参上です。
何?コレ、ですか?このポスター。

杉本哲太主演。
日本の原風景をバックに盗んだ自転車でひたすら走る続ける男の
7日間のロードムービー。
スタッフも、”たぶん、お客は、とんと来ないですね。”と言いながらも
これは面白いじゃないですか。
みんな、いいノリです。
でも、さっぱり、お客は来ない。でもいい。
このような映画にも上映する余裕が出てきました証拠です。
そうです、
ミニシアターとして、軌道に乗ってきたのです。
もちろん、黒字です。
あの「かもめ食堂」、「間宮兄妹、「時をかける少女」の3連打が
功をそうし、それからは着実に実績を積み上げてきた成果です。
かと言って、
手綱を緩めては元のモクアミです。
気を引き締めて。基本ベースを忘れずに。
さらに初心を忘れずに。
ビターズ・エンド配給の「ダーウィンの悪夢」を。

おどろおどろしたポスターですが、
世界が豊かを求めるばかりに
生態系がくずれていく自然界の現状を暴くドキュメンタリー作品。
20世紀FOX配給の「ラストキング・オブ・スコットランド」。

1970年代、ウガンダの独裁者、アミン大統領を悪行を描く。
人間は行き着くところ、恐ろしい。
行き着かないでも恐ろしいか・・・。
ムービー・アイ配給の「ボビー」。

”ボビー”の愛称で呼ばれたロバート・F・ケディの1969年暗殺前夜の
アンバサダーホテルに集う22人に焦点を当てた人間ドラマ。
アンソニー・ホプキンス、シャロン・ストーンの豪華キャスト出演。
世界のスノーボーダーたちのドキュメンタリー、
東北新社の「ファースト・ディセント」。

スノボー好きしか来ないとわかりつつも、あえて上映。
でも、ニーズだけで判断したくない。
ダイナミックなドキュメントの迫力はいい。
やはり、黒沢清監督、
ザナドゥー配給の「叫び」、
役所広司、葉月里緒奈のゴーストムービー。

黒沢清作品、なんか上映したくなる。
当たりハズレが多いが、これもハズレか、
でも、黒沢清、あなどれない。
角川ヘラルド配給の「となり町戦争」、

となり町がいがみ合う、奇想天外な世界を、
江口洋介、原田知世主演でしたが見向きもしない、
期待はずれ。
市川崑監督にスポットを当てた、
ザナドゥー配給のズバリ「市川崑物語」、

岩井俊二監督がリスクペクトする
巨匠、市川崑監督のドキュメンタリーを監督。
私も大好きな市川監督を岩井俊二というのがたまらない。
是非、上映したかったので。
「鉄男」の塚田晋也監督、松田龍平主演、
ムービーアイ配給の「悪夢探偵」はマニア受け。

塚田監督ワールド。娯楽には甘んじない。
相変わらず、カメラワークはいつも唸る。
あらゆるジャンルに食指を伸ばす、そんな最中に、
直接、配給会社から上映依頼の電話が舞い込んだ。
会社名は、”コミックスウェーブ”。
全然、認知してない会社だった。
アニメ映画、今ではメジャーになった新海誠監督の
「秒速5センチメートル」という映画です。

当時は、新海誠監督の名も初めて聞いた名。
電話口からは配給会社の担当者の熱心な上映依頼の声が心に響く。
即答した。
”やらせていただきます。”。
手元に何の資料もないが、
ただ担当者の丁寧な語り口によることもあるが、
不思議な、ザワザとした予感がし、駆り立てられるような気がした。
早速、配給会社から送られて来た予告編を見た。
何だ!この映像世界は!とても斬新で新鮮な切り口。
透明感と相対するダークさが匂い立つ。
本編を見たら、
さらに予告編の期待を上回る出来栄え。
この監督の感性。
当時、ジブリが席巻した時代。
そこへ新たな時代の幕開けを感じた。
そうなれば、さかのぼる新海誠作品をレンタル店で片っ端ら借りてきて見た。
やはり、凄い感性。
結果、興行成績は、かんばしくはなかったが・・・。
何の後悔もない、とてつもない原石を見つけた気がした。
その後の「君の名は。」のブレイクが証明してくれた。
私自身、ミニシアターの中でも、この「秒速5センチメートル」は、
メガ急のインパクトのある映画だった。
まさしく、再びのミニシアター冥利である。
一気呵成に波に乗りたい。
ニューセレクト配給の「善き人のためのソナタ」も忘れがたい。

ドイツ映画。
冷戦時代の東ドイツが舞台。
秘密警察の監視者が、対象者のピアノ演奏に魅了され心が動かされていく・・・。
アカデミー賞外国語賞にも輝いた良作。
また、9.11以降、無実の青年達がテロリストとしてアメリカ政府に拘束され、
地獄のような収容所の真実を暴く衝撃作。
クロクワークス配給の「グアンタナモ、僕達が見た真実」、

当時のアメリカの無謀なテロ対策を世間に知らしめるために、
このような意義のある映画も、あえて上映する。
かと言って、フランスの香りも届けたい。
東宝東和配給の「パリ・ジューテーム」。

パリの街角を舞台に男女の愛のオムニバス18話。
感性で見て欲しい。
ビターズ・エンド配給の「神童」、
成海璃子、松山ケンイチ主演の天才ピアノ少女と音大生の交流を描く。

地味ながら、音楽の繊細な真髄に触れて欲しい。
渋谷区を舞台に生徒と先生の淡い恋を描く、榮倉奈々主演作、
クロックワークス配給の「渋谷区円山町」。

小品でも、ちま~っと青春してる。
仲理依紗も出てる。
これが拾い物の1作。好きです。
ダイアナ死去の後のイギリス王室、内幕を描いた、
エイベックス配給の「クィーン」。

エリザベス女王の内幕、やはり中高年中心の女性客に関心を集めた。
ダイアナの事もあるから、イギリス皇室には日本人は興味を持つよネ。
ユナイテッド配給の「世界はときどき美しい」、
日常の葛藤の5人の生活を
かなり、偏った自己陶酔に満ちた映像のオムニバス、
とても鼻につくが、あえて上映。

お客は来なかった。
けれど、何か忘れられない。
幅広い映画をどんどん上映していた。
私とスタッフは、ギャクではないが、このタイトルの妙に
時々、”世界はときどき美しい”と言って心をなだめていた・・・。
何?それ?
世界はときどき美しい、と、
何故、口々に言っていたのか、皮肉なのか、
その訳は・・・。
この映画館を運命を下される時期が来たのだ・・・。
ミニシアターに鞍替えして、
早、2年以上。
実績を積み、なじみ客も、リピター客も増え、
多くのお客とも、私語まで交わすまでとなった・・・
成績も、大入りはいないが、安定したお客に支えられ、
この映画館が、シネコンではお目にかかれない、
都会発信の映画を地方でも上映してくれることに、
応援の声を頂くことが日増しに増えてきた時期。
それは、
この映画館を管理する大手鉄道会社から担当者の訪問だった。
借り手側への通達だった・・・。
切り出した言葉は、
”契約期間満了後、再契約は出来ません。
この場所は今後、再開発で、映画館を解体して、
ビジネスホテルにする。”という旨を・・・。
そして、”今まで、お借り頂いたことに感謝します。”の謝意と共に
映画館契約満了打ち切りを通告された、
苦い日。
唖然となる。
軌道に乗って・・・・、
さあ、もっと飛躍したい、
どんどん、新たな映画を提供したい、
スタッフともども、熱い気持ちを更に加速した時に、
その通達は、
まるで、死刑宣告のようなものだった・・・。
ただし、こちら側もノーテンキに、
いつまでも、この映画館が続けれると思ってはいなかった。
この場所が、駅前の好立地ということもあり、
大手鉄道会社ゆえに、手をこまねいているわけはないと
いつか、宣告されることは重々、理解してきたが・・・、
それが、やっと、安住の地に住み着き、
これからだ、と言う時に・・・、
契約だから、受け止めるしかなかった。
だから、その後、
私たちは、前記のように
”世界はときどき美しい。”と言って、
皮肉のなりゆきを、そう、たとえていたのだ。
でも、人生って、そういうもの。
落胆は大きかったが、決まったことは決まったこと。
後は、どう、残り期間を捨て鉢にもならず、
ソフトランディングで終えることに気持ちを切り替えた。
そうでなければ、今までの軌跡が台無しになってしまう。
この大事な宝物の記録は、前を見て、終えなければ意味が無い。
立つもの後を濁さず。
各配給会社には、きちんとお礼と共にご挨拶文を送りご報告。
周りから、惜しまれる言葉を頂きつつに応えて、
なおさら、平常心で、今までのように番組チョイスに真摯に取り組んだ。
この状況下に、嫌味ではないが、「世界はときどき美しい」から、
ブェナビスタ配給の「こわれゆく世界の中で」を上映する。

ロンドンを舞台に、男と、繊細な彼女、情熱的な未亡人との対照的な愛の葛藤。
恋愛って、男はつらいよ。
このジャンルも上映する。
東北新社配給の「NARA奈良美智との旅の記録」。

世界が注目するアーティスト奈良美智の日常に迫ったドキュメンタリー映画。
アートに取り組む芸術家の姿を見てみたい。
あえて上映。商売抜き。それもいい。
そして、
2年半近くのミニシアター作品の中で、
1番、難敵だった上映作品がある。
上映を要望したが、担当者は、”出来ません。”との返答。
その配給会社は、あの”ジャニーズ”の映画配給会社の”ジェイストーム”である。
映画は、嵐の「黄色い涙」。

初めてのお取引は、難しいとのこと。
こちらも、まだ新参者。相手の気持ちもわかるが・・・。
その女性担当者。電話から伝わってくるのは、とても感じがいい。
慇懃無礼な態度でもなく、ちゃんと上司にもかけあってくれたし・・・。
映画の内容は、1960年、昭和高度成長期、5人の若者の浅春群像。
監督は「ジョゼと虎と魚たち」「メゾンドヒミコ」の犬童一心監督。
単純なアイドル映画にはしていない。犬童監督が少年時代から永島慎二のコミックの原作に魅了され、長年の夢を映画化に実現にたどりついたことを承知していたので、
犬童監督ファンの私ゆえに、上映したかったのだ。
だから、1回のお断りにもめげず、
しばし間をあけては、配給会社に電話すること3回。
あの女性担当者が、根負けしたのではなく、私の熱心さに、
覚悟を持って、再度、上司とかけあってくれた末、
遂に、OKの返事をいただくことになりました。
あの女性担当者には感謝しかありません。
後にも先にも、映画人生で、あれだけ固執した映画は、あの作品だけです。
したいと思った映画を、早々、簡単にあきらめるのが、後悔するのが、
イヤだったのかもしれません。
映画館として、残された契約期間の中、
消化試合はしたくはなかったのかもしれません。
いまだに、あの電話口のやりとりは忘れられません。
まあ、こんな逸話は稀ですが・・・。ニシアター時代の痕跡です。
手綱は緩めず、
前へ前へ、残された期間の中で、飽くなき、映画をチョイスしていきます。
ギャガ配給の「ボルベール<帰郷>」

妖艶なペネロペ・クルス主演作。
「トーク・トウ・ハー」の監督のラマンチャの女たちの生き様を描く。
このカラフルなポスターがいい。
20世紀FOX配給の「あるスキャンダルの覚え書き」、

アメリカで実際に起こった41歳の教師と生徒の禁断の愛。
タイトルがいいネ。
アスミックエース配給の「恋愛睡眠のすすめ」、

「エターナルサンシャイン」の監督ならではのアート感覚の妄想ラブコメディ。
もう、好きモノだけ。
ギャガ配給の「毛皮のエロス」、

ニコール・キッドマン主演、写真家の官能ラブストーリー。
ニコール、何でもかんでも、映画、出過ぎです。
シネカノン配給の「明日、君がいない」、

自殺を通して、若者達の心の闇を描く、リアルな現実。
考えさせられる。
ビターズ・エンド配給の「サイドカーと犬」、

「雪に願うこと」「探偵物語」の根岸吉太郎監督、竹内結子主演。
内気な少女と破天荒な女性の交流を描く心温まるヒューマンドラマ。
根岸の心意気だね。
ここで、デスベラード配給の韓国映画、「私たちの幸せな時間」を。

死刑囚の男と自殺願望の女の愛を描く。韓国では大ヒットした感涙の物語。
相変わらず韓国映画、よく入ります。
ギャガ配給の「女帝エンペラー」、

チャン・ツィイーの美しさがまばゆい、
豪華絢爛アクション愛憎劇。ワイヤーアクションが見所です。
角川ヘラルド配給の「転校生 さよならあなた」、

大林宣彦監督が、自らの1982年作の「転校生」をあらためてリメイク。
う~ん、やはり、1作目にはかなわない。
めまぐるしく、上映作品を入れていく。
満ち足りた日々。
かけがえなのない時間。
それでも、時間だけは容赦なく過ぎていく。
心残りのないように、仕事、いや天職を、
熱いスタッフと、残りの時間を惜しみなく邁進する。
やがて、映画館を閉じる期日が、後1ヶ月に迫る。
ラストスパートの作品が入れる。
まずは、ショウゲート配給の「キサラギ」、

小栗旬、ユースケ・サンタマリア、香川照之、小出恵介、ドングドラゴンの塚地の
5人が繰り広げられる密室での推理劇。
コミカルな会話が手放しで面白い。
受けました。若い層が、ワンサカ。
ラスト一ヶ月にして、にぎやかで活気あふれる場内はいいものです。
そこで、強力な後押し作品で波状攻撃か、
ザナドゥー配給の「アヒルと鴨とコインロッカー」

伊坂幸太郎原作、「ルート225」の中村義洋監督。
ボブ・ディランの名曲「風に吹かれて」にのせて、
瑛太、濱田岳、関めぐみたちの奇妙な友情ミステリー。
「キサラギ」に追従して、いい入りです。
20代の時、カトリーヌ・ドヌーヴに魅せられて、
年月を経て、因果か、やっと興行生活の終幕に、
ドーヌヴ作品を上映できる感慨深い、ムービーアイ配給の「輝ける女たち」、

ドヌーヴと共にフランスを代表する女優のひとり、エマニュエル・ベアール共演の
疎遠になったファミリーの人間模様。
フランス映画ならでは。
最後まで、あえて社会問題定義したい、
日活配給の「ツォツイ」です。

アパルトヘイト廃止後の南アフリカの厳しい現状をリアルに描く、
アフリカ映画として、初のアカデミー賞外国語賞に輝いた感動の問題作。
ラストに来て、果敢に訴えたい。
さらに、商機に走らず、淡々とメッセージ映画を上映、
ギャガ配給の「それでも生きる子供たちへ」、

7ヵ国の子供たちが直面する厳しい現実をそれぞれの国を代表する監督が
赤裸々に綴るオムニバス映画。
スパイク・リー、リドリー・スコッと、ジョン・ウーなどの大物が、
世界の子供たちの過酷な状況を描く。
これも、思想主義でもなく、世界の現実を見てもらいたい一心。
そして、遂に映画館を閉じる、トリを収めるのは、
河瀬直美が率いる組画配給の河瀬直美監督の「殯(もがり)の森」です。

この作品は、カンヌ映画祭のグランプリ受賞に輝きましたが、
作品上映も申し込んだ時は、まだ受賞前で、未知数。
でも、予感めいたものを感じ、
熱心に配給会社の女性担当者とやりとりしたものです。
その熱心さに、早く、優先的に上映日を決めていただきました。
結果、
受賞の知らせを聞いた時、
すぐさに配給会社のお祝いの電話を入れ、
女性担当者と喜びを分かち合ったのを今でも忘れられません。
”興行の勘”を最後に発揮したような想い出です。
2007年9月28日。
映画館は、幕を閉じることになりました。
余力を残したまま終えることになりましたが・・・
これも運命です。
映画館の貸主、大手鉄道会社との再開発による閉館なれど、
”閉館”の響きは、
世間は、”あの映画館、つぶれた。”という声になりましたが・・・
私を含め、スタッフだけが、わかっていればいいのです。
その時の熱い思い、共に苦労した日々は、
永遠に刻まれたのです。
ミニシアターとして、2年半あまりの短い期間でしたが、
上記に記した作品は、一部です。
2年半あまりで234作品の上映。濃密です。
ディープブルー |
探偵事務所5 |
玲玲の電影日記 |
ローレライ |
8月のクリスマス |
時をかける少女 |
いぬのえいが |
NOELノエル |
ラストデイズ |
きみに読む物語 |
SAW2 |
間宮兄弟 |
火火 |
ベルベットレイン |
家の鍵 |
エターナルサンシャイン |
1リットルの涙 |
ディセント |
パッチギ! |
カーテンコール |
ダンサーの純情 |
約三十の嘘 |
空中庭園 |
ローズ・イン・タイドランド |
ローマの休日 |
女は男の未来だ |
ビッグリバー |
ひまわり |
メトロで恋して |
ふたつの恋と砂時計 |
クローサー |
ミリオンズ |
永遠の法 |
運命を分けたザイス |
欲望 |
嫌われ松子の一生 |
トニー滝谷 |
そして、ひと粒のひかり |
初恋 |
甘い人生 |
RIZEライズ |
美しき運命の傷痕 |
マシニスト |
B型の彼氏 |
ヨコハマメリー |
ひとまず走れ! |
東京ゾンビ |
笑う大天使 |
コーラス |
ブラックキス |
狩人と犬、最後の旅 |
バンジージャンプする |
ケータイ刑事 |
もしも昨日が選べたら |
皇帝ペンギン |
力道山 |
トランスアメリカ |
バッド・エデュケーション |
ピーナッツ |
青春漫画 |
カナリア |
疾走 |
恋するトマト |
美しい夜、残酷な朝 |
美しき野獣 |
リバティーン |
スカーレットレター |
ダイアモンド・イン・パラダイス |
胡同のひまわり |
イン・ザ・プール |
風と共に去りぬ |
紙屋悦子の青春 |
海を飛ぶ夢 |
ある子供 |
やわらかい生活 |
彼女を信じないで下さい |
ブロークバック・マインテン |
ゆれる |
ノロイ |
灯台守の恋 |
そうかもしれない |
オオカミの誘惑 |
ポビーとディンガン |
フラガール |
フィーメイル |
ウォーターズ |
マッチポイント |
ヒトラー最期の12日間 |
三年身籠る |
LOFT |
ラヴェンダーの咲く庭で |
クラッシュ |
太陽 |
いつか読書する日 |
歓びを歌にのせて |
蟻の兵隊 |
コーヒー&シガレッツ |
リトル・ランナー |
恋する日曜日 |
マルチュク青春通り |
ナイロビの蜂 |
日本以外全部沈没 |
リンダリンダリンダ |
ヒストリー・オブ・バイオレンス |
無花果の顔 |
ルパン |
るにん |
美しい人 |
ニライカナイからの手紙 |
ホテル・ルワンダ |
敬愛なるベートーヴェン |
ファースト・キス |
水霊 |
カポーティ |
氷雨 |
ナイロビの蜂 |
パビリオン山椒魚 |
同い年の家庭教師 |
二人日和 |
アガサクリスティーの奥様は名探偵 |
マイ・リトル・ブライド |
天空の草原のナンサ |
記憶の棘 |
愛の神エロス |
コアラ課長 |
ストロベーリーショートケイクス |
恋する神父 |
佐賀のがばいばあちゃん |
氷の微笑2 |
マリといた夏 |
好きだ、 |
夏物語 |
青空のゆくえ |
青い棘 |
待合室 |
メゾン・ド・ヒミコ |
イノセント・ボイス |
キンキーブーツ |
ヴェニスの商人 |
僕のニューヨークライフ |
サンキュー・スモーキング |
ロード・オブ・ウォー |
ブロークン・フラワーズ |
酒井家のしあわせ |
ふたりの5つの分かれ路 |
戦場のアリア |
弓 |
乱歩地獄 |
雪に願うこと |
王の男 |
理想の人 |
ホワイト・プラネット |
奇跡の朝 |
サヨナラCOLOR |
かもめ食堂 |
幸福のスイッチ |
マザーテレサ |
白バラの祈り |
クリムト |
クレールの刺繍 |
ハイジ |
エコール |
プルーフ・オブ・マイライフ |
RENT |
オーロラ |
親切なクムジャさん |
グッドナイト&グッドラック |
上海の伯爵夫人 |
子宮の記憶 |
あるスキャンダルの覚え書き |
魂萌え! |
私たちの幸せな時間 |
世界最速のインディアン |
キャプテン |
赤い鯨と白い蛇 |
鉄人28号 |
口裂け女 |
殯の森 |
麦の穂をゆらす風 |
アヒルと鴨のコインロッカー |
パプリカ |
松ヶ根乱射事件 |
長州ファイブ |
ツォツィ |
百万長者の初恋 |
ブリッジ |
ひいろ |
パリ・ジュテーム |
こまねこ |
ユメ十夜 |
早咲きの花 |
おばちゃんチップス |
リトル・ミス・サンシャイン |
秒速5センチメートル |
となり町戦争 |
ブラックブック |
叫 |
フライ・ダディ |
悪夢探偵 |
恋しくて |
|
渋谷区円山町 |
日本の自転車泥棒 |
世界はときどき美しい |
ダーウィンの悪夢 |
女帝 |
ボビー |
ストリングス |
ファースト・ディセント |
神童 |
市川崑物語 |
クィーン |
ジョジョの奇妙な大冒険 |
フランシスコと2人の息子 |
ラストキング・オブ・スコットランド |
千の風になって |
アルゼンチンババア |
奈良美智との旅の記録 |
善き人のためのソナタ |
黄色い涙 |
あかね空 |
きみにしか聞こえない |
グアンタナモ、僕達の見た真実 |
卒業写真 |
ボルベール<帰郷> |
電撃文庫ムービーフェスティバ |
明日、君がいない |
転校生 |
恋愛睡眠のすすめ |
こわれゆく世界の中で |
サイドカーに犬 |
キサラギ |
毛皮のエロス |
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●ミニシアター映画上映本数合計:234作品 |
どうですか、バラエティあふれる作品の数々。
私の映画人生、学生バイト3年、支配人として30年間に上映したのは、
ハリウッド映画が大半で、500~600作品の映画を上映したが、
最後の3年弱ほどのミニシアター映画館としては、
234作品上映の驚異的な半端ない怒涛の本数。3年弱ですよ。
おったまびっくり。
フィルム担当も兼ねるナミコ様、本当にご苦労様でした。
今じゃ、デジタルですから簡単ですが、
当時は、配給会社から送られてくる35ミリフィルムは、
約20分刻みのフィルム1本が1缶で、
合計5缶から7缶ほどのパッケージ一包みでおよそ30キロある重さ。
それを丁寧に1本づつ、フィルムを繋ぐ作業が大変、この上ない。
いやはや、大変です。
ありがとうございます、ナミコ様。
この闘いに挑んでくれたスタッフたち、
上記の映写、宣伝、実務担当のナミコ様を筆頭に、
ホール担当のチアキ様、ミカ様。
ありがとうございます。
でも、映画館は、これで終了しましたが・・・
ただの映画館の終幕で終わりません。
続きがあります。
その証は、
新たな闘いの場が、自主製作という、”映画作り”でした。
それが、今までのサイトをお色直しして、
ネーミングは、”chuei.jp”、
このサイトのTOPページの数ある自主製作映画作りが、
それを現しています。
映画館で、共に闘ったスタッフ3人が、
映画館閉館以後、個々の仕事の合間にスケジュールを合わせて、
この自主製作映画の出演者として力を貸してくれました。
みなさん、素人ながら、堂々の熱演振りです。
作品によっては、1日で終われば、3年の月日を投じたりと、
今の時点で、かれこれ13年以上のお付き合いです。
この関係性は、
ミニシアターを通して紡いだ絆が、
今でも結実しています。
配給会社からの作品を提供する立場から、
自主製作した映画を、サイトで無料配信という、
この映画館の灯は、まだ消えていないのです。生きているのです。
まとめに入ります。
私の映画人生は、
興行生活、およそ33年。
30年間が、メジャー作品に関わり、
3年間が別の場所をお借りしてのミニシアター作品に身を投じました。
最初の30年の映画人生は、縁からでの仕事に就き、
それからも映画生活と併用して、
いろいろな人の縁で、タウン誌、テレビ等々・・・、
そして、
この最終3年間は、ミニシアターとして、
今までの人生とは違う、初めての自らが先導した賭けでした。
それも負け戦覚悟、奈落の底に落ちてもいい覚悟で。
でも、
それが、不思議ものです。
苦しい興行は続きましたが、
ミニシアター配給会社と映画館との一体感で取り組めたことは、
メジャーにはない、熱いものでした。
最後の最後に、興行生活。
最高のご褒美をいただきました。
その延長に、
今の自主製作映画作りがあるのです。
本当に、好き放題の映画三昧と各コラボのやりたい放題です。
こんなに楽しい人生は、いろいろな人のおかげだで成り立っています。
また産んでくれた両親に、感謝しかありません。
どうも長々と、個人的なお話に終始しましたこと、
この愚にもつかない実話小説にお付き合い下さいましたこと、
誠にありがとうございました。
まだ、
私の映画人生にエンドロールは流れません・・・。
それでは再度、
”世界はときどき美しい”で、
締めくりさせて頂きます。
感謝です。
第一章・第二章 第三章 第四章 最終章
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